たからもの
自然
ワッソでヤマダメ
夕暮れの柔らかい光に包まれると、
里山はまるで50年・100年前の情景になります。
風に誘われるまま、立ち止まって空を見上げていると、
なだらかな山並みが親しげに振り向きます。
木滑から見える峰と峰の間に、古くからワッソと呼ばれる地点があり、
「ヤマダメ」という天候占いが伝え継がれているそうです。
まだ明けやらぬ朝、集落の古老がワッソを注意深く監察しながら
「今日は昼から雨になるさけ干し物は出さんように」
と伝えてくれるのです。
今はヤマダメをするより、テレビの天気予報を見た方が
早くて確かという時代なのですが、
そこはそれ、
田畑に出ているときはテレビもありませんので、
ふと見上げるのがワッソなのです。
ちなみにワッソというのは鷲走と書く峰の名前で、
立派な白山山系の一つです。
その姿が山間から消えると確実に雨になり、
ピカピカ輝いて見えると好天が保たれます。
そして冬ならば、ワッソが霞むとまもなく雪になります。