木滑のおはなし

物語
仏御前の物語

木滑には木滑神社という村社があります。
上木滑と、下木滑の産土神です。

木滑神社
この神社の鳥居を入ってすぐ左手に、小さな祠が見えます。
その祠の中に祀られている大きな石にまつわる物語が、
木滑にはあるのです。

平家物語(コチラ)では、祇王と共に嵯峨野の山寺に入った仏御前。
ある時、清盛の子を宿していることに気づきます。
しかし、尼寺での出産は、はばかられます。

そこで彼女は、故郷の原町(現在の小松市)に帰り、産むことを決意しました。
福井県勝山市から峠を越え、石川県の旧吉野谷村まで歩き、
そこから、は原町を目指します。
しかし、道中の木滑まで来たところで彼女は産気づきました。

近くにある石に寄りかかって、うめき声をあげていると、
ちょうど通りかかった村のお婆さんが、仏御前の声に気づきました。

お産をしている仏御前の周りには蚊がブンブンたかって苦しそう。
お婆さんは、近くにある木の枝で蚊を追い払ってやりました。
そして仏御前は無事、男の子を出産しました。
彼女は、蚊を追い払ってくれた事に感謝し、
この近くに蚊がいなくなるよう、祈ってくれました。
実際今でも、周辺では蚊があまりいません。

その、仏御前が寄りかかり、お産をしたといわれる石。
それが、木滑神社にある、祠の中にある石です。
触れると安産のご利益がある、霊験あらたかな石で、
仏御前の安産石”と呼ばれています。

仏御前の安産石
 祠には扉がついているのですが、いつでも開けるようになっていて、
横にある小さな扉からは、実際に手で触れることが出来ます。

注意していただきたいのは、祠の左に大きな石があり、これを安産石と間違えやすい事。
この岩は 「風涼し 仏御前の お産石」 と刻まれた句碑です。

句碑
(こちらは句碑です!)
 
今もなお、人々に語り継がれる物語を持つ木滑神社。
神社には、水が軽やかに流れる音が響き、
境内には大きなもみの木があります。
心が休まる、素敵な場所です。

850年も昔に、この場所で子供を産んだといわれる仏御前を思いつつ
神社に参拝すると、より一層感慨深いものがあります。

木滑神社